茹で蛙の盆踊り

茹で蛙の盆踊り

アラフォーサラリーマンが、まぬけな子育て話などをお届けします

案ずるより産むが易し。断酒をカミングアウト

先週末の飲み会の時に、図らずも昔の同僚によって僕の断酒が公になった。とは言え、まだ僕には大きな関門が残っていた。前回は同じ寮の人にだけ断酒がオープンにされただけで、まだ同じ課の人間にはなにも伝えていない。そして、厄介なことにうちの課長は、コロナがおさまってきたから、そろそろ取引先と軽く会食の場を設けようと意気込んでいる。もちろん、うちの課長は昔の酒に溺れていた時の僕をよく知っているから、僕も飲み会要員の頭数に入れられているだろう。一刻も早く自分の断酒についてカミングアウトしたいけど、どのタイミングで伝えてよいのかわからず、飲み会の話題が出るたびに「そーですねぇ、そろそろ取り引き先と会食せんとあかんですなぁ(心ここにあらず)」っていう感じでテキトーにあしらっていた。

この前の金曜に寮のみんなに断酒がばれて、結果的にうまい具合にまとまったから、課の人に伝えるのもなんとかなるんじゃないかと思いつつも、やっぱり不安が込み上げてくる。だって、うちの課の人は昔僕がどれだけ酒を飲んでいたか知っているから、今更「お酒やめまーす(テヘッ)」って言ったところで、「何言ってんだ、てめーふざけんな!」って返ってきても全く不思議ではない。そして、うちの課はよりによってみんなお酒が好きな人ばかり。酒が好きな上に、中国式の「乾杯」文化を何故か導入しているからホントなかなかタチが悪い… 僕なんかは下手に酒が飲めるもんだから、これまで何度ヤラレたことかわからない。昔の体育会系なノリが残っている課だから、飲み会要員は都合のいい存在なのだ。僕もそれがわかっていて、昔は率先して飲んでいた。

そんな僕が「飲みません!」なんて宣言したら、そのまま遠くの支店に飛ばされるんじゃないだろうか。なんてちょっと不安に思っていた。でも、もうこれからの人生で酒は一滴も飲まないと誓いを立てているので、破ることはできない。誓いというか、正確には戒なので、これは破ることのできない原則だ。っていうことをあの人たちに言って通じるんだろうか。なんで仏教が日本に導入された時に戒律がまともに入って来なかったんだ!と結構真面目に憤慨する。1500年前にちゃんと戒律とサンガが日本に根付いていれば、今の日本に飲酒の文化なんてなかったんじゃないのか!ってこの島の片隅で叫びたい。

さてさて、どのタイミングで打ち明けようかと思案していたら、部長様が役員室からうちら下っ端の居室にやってきた。あれ?今日ななんか知らんけど、やたらと上機嫌だ!!

部長「おう、兄さん、上手いことやってるかね?オメェ、まだ昼飯食ってないのか?」(基本僕は1日1食か1.5食しか食べない)

僕「はい、夜だけ食べれればいいので」

部長「ってことはまだあれか、昼飯抜いて、腹を空かせた状態で酒をしこたまのんで飲んでるのか?」

嬉しいことがよくわからないけど、部長は5年前の僕の生活をよく覚えてくださっている。帰ってから出来るだけ酔いが早く回るように空腹状態をわざと作って、ウィスキーとかを一気にガッと飲んでいたりしたもんでした。いやー、本当に人間のクズだったなぁ(笑)。今は部長の機嫌がいつになくいいから、言うなら今しかない!断酒していると伝えるんだ!意を決して…

僕「もうお酒はやめました」

部長「あら、そう!ふーん」

って、案外サラッと流すね、そこ!!僕がこれを打ち明けるのにどれだけ迷ったことか!僕の心労を返してくれよ!!この話を拾ったのは隣にいた課長。やっぱり「あの酒飲み」が酒をやめたなんて嘘だろうということで、

課長「家では飲んでねぇってことだろ?仕事では飲むんだろ?」

うーむ、なかなか痛いところを責めますな。

僕「いえ、もう今生では飲みません。来世で人間に生まれ変わったらその時飲みます(輪廻があればな!)」

課長「お前なんかやらかしたんかぁ?」

あー、こういう返しできましたか。そうですよね、あのひどい酒飲みがいきなり酒をやめるなんて普通に考えてありえないから、皆さんその「理由」を知りたがりますよね。

僕「いやー、ちょっとやらかしまして、次に酒飲んだら離婚されちゃうんです」

部長、課長「あーー」

どうやら納得してくれたみたいです。部長に至っては、「お前も色々あるだろうから細かいことは聞かないでおくよ」となんかものすごく優しくしてくれました。

この前の飲み会もそうでしたけど、なんかよくわからんうちに僕は「酒でとんでもない過ちを犯してお酒が飲まなくなった人」っていうことになりました。まぁ、これでみんなが無理に酒を勧めてこないならそれでいいかな(笑)。あと、酒で失敗したってところは方向性として事実だしね。

今回は流石に色々と言われるかと覚悟したけど、部長も課長も案外あっさりとした対応でびっくり!流石に今時の会社ではアルハラ云々言われるから、他人の断酒にそこまで突っ込んだりしないのかな。とは言え、僕がまだ酒を飲んでいた時の飲み会は多分今から思えばアルハラのオンパレードだっただろうなあ(笑)。令和の世の中ではそういう飲み方はもうないだろうけど。アルハラ云々の問題以前に、飲み会そのものがほとんどなくなってきているかぁ。

断酒カミングアウトをどうするか問題については、日本に帰ってくるまで相当悩んだけど、なんかサラッと解決できてしまったな。コソコソ嘘をつくよりも、キッパリと公言した方が断酒はやりやすいということですな。もし今断酒しようとしている人がいたら、会社やSNSで公表しちゃってください。その方が楽ですよ。