茹で蛙の盆踊り

茹で蛙の盆踊り

アラフォーサラリーマンが、まぬけな子育て話などをお届けします

カニ少女

小ネタです。昨日目撃した光景をどうしても書きたくて、この衝動を抑えることができませんでした。結論から申し上げますと、猛烈にどうでもいいことです(笑)。このブログを目にしなくとも人生で困ることは一切ないことは確実です。では、そんなしょうもないお話をして参りましょう。

仕事を終えて、いつも通り電車に乗って帰っておりました。いつも通り端っこの車両に乗って、いつも通り車両の端っこの方で本を読んで、いつもと同じ駅で電車を降りました。僕と同じタイミングでとある女子高生も電車を降りました。どうやら彼女の友達はまだ車両に乗っていたようで、この駅で二人はお別れという感じです。ここまでは、普段通りの何の変哲もない光景でした。が、その少女、電車を降りてから車両にまだいる友達の前あたりに来るや否や、両手をチョキにして高く上げ、そして中腰になって両脚をガバッと蟹股に開いて、そしていきなりカサカサと左右に動くではないですか!な、なんなんだこいつは!?カニのポーズでめっちゃ早くて小刻みな反復横跳びをする女子高生」を想像してください。え?そんなやついねえよって?いやいや、僕の目の前にいたんですよ、そのカニが!いや、違う、蟹校生が!ああ、違う女子高生ね。実に活きのいいカニでございました。私もカニにはうるさい方ですが、昨今の市場であんなにでかくて活きのいいカニはなかなかお目にかかれるものではありません。いやー、それにしても少女は何故にあの場でカニになったのか。実に不思議です。蓮舫がいたら「エビじゃだめなんですか?」ってきかれるかもしれんですね。いや、問題はカニとかエビじゃないか。思春期の多感な女の子がそんなことしていていいの?ってちょっと心配になっちゃうね。箸が転がっただけでも笑える年頃ですのに、カニなんてやられた日にゃ腹が捻じれてしまいますよ。少なくともその隣にいたおじさんは笑いをこらえるのに必死でした。

そのカニさん、機敏にそして必死に左右にカサカサ動いていたんですが、そのうち電車が発車したら、なんと今度は電車と並走してそのまま素早いカニ歩きをし始めました。すさまじい勢いでカニ歩きをしながら電車と並走する女子高生。令和の世でいったい何が起きているっていうんだ、千葉県!もう、さっきのカニの真似だけでも意味がわからないのに、突如として駅のホームに現れたこの謎の新生生物に笑いをこらえるのがやっとでした。しかし、そんなカニ女子高生の大躍進も長くは続きませんでした。

友達を笑わせようと必死にカニ歩き(走り?)をしていた彼女、カニの真似しても人間だから左右はどうしても死角になっちゃうんだよねぇ… ホームの鉄の柱に激突してゴーンっていうデカイ音とともによろめきました。これが本当にすばらしい音でした。ホームの柱って、あんなにきれいに響くもんなんですね。知りませんでした。寺の梵鐘かしらって一瞬思ったくらいです(笑)。まぁ、ものすごく痛そうな感じだったのですが、よろめいただけでそのカニさんは崩れ落ちることなくなんとか体勢をもちなおしました。たぶん、この衝撃でこのカニも我に返って人間に戻ったんだと思います。ここで膝をついて「てへへ、いったーい!」って言ったところで友達はすでに遥先に行ってしまっているわけですし、近くには笑いを必死でこらえているアラフォーのおじさんしかいませんカニから人間に戻った女子高生は、何事もなかったかのように直立二足歩行を再開し、そのまま駅の階段を登っていきました。あれはたぶんそうとう我慢していただろうなぁ。

僕はマスクなんて大嫌いで、こんな暑い季節でもマスクをしなくちゃいけないなんて正気じゃないっていつもブー垂れているんですけど、この時初めて、人生で初めてマスクのありがたみを感じました。マスクがなかったら、ものすごく邪悪な顔で笑いを我慢しているのがバレバレでしたね。いやー、あってよかったコロナマスク。

今回は何事もなかったようで(たぶんね)よかったですけど、これが事故になっていたら大変ですよ。今時はSNSなんかですぐに情報が拡散しちゃいますから、「カニ少女のせいで電車が30分遅延」なんてことになりかねませんね。こうなると本人もなんて言い訳をしたらよいのか。「いや、あれはタラバガニの真似をしていたので正確にはカニではないのです。ヤドカリなのです…」みたいな苦しい言い訳くらいしかできない。いやいや、これでは言い訳にならないか。

あの場でもし彼女が脳震盪を起こしていたら、必然的に近くにいたこのおじさんが面倒を見なきゃいけないわけですから、救助せんといかんわけですよね。そうなったらどうなりますかね?きっと深夜にピンポーンってインターホンが鳴って、「助けられたカニです」みたいな感じで恩返しに来てしまうかもしれん。それはちょっとホラーだな。

と言う感じで、いろいろ考えると、ただの笑い話になってよかったね、カニ少女。きっとデカイたんこぶはできたかもしれないけど、それはすぐに治るよ。それよりもおじさんが気にしているのは、たんこぶよりも大きな心の傷ができていないかどうかということです。あんなに素晴らしいカニの素養をもった君のことだからだぶん大丈夫だとは思うけど。いつか立派なカニになって、またどこかで会えることを楽しみにしています。